仲村一男のエッセー

私は野鳥が好きで、キジ、カラス、ミミズク、フクロウなどいろいろ飼っている。ここ一〇年ほど鳥ばかり描いてきた。中でもフクロウの絵が一番多く、いま飼っているフクロウは四回目で、ひなのとき、手に入れたのが四、五年元気でいる。毎日鳥を眺めていると、いろいろ変わった形を知ることができた。フクロウなどネコのように敏捷に動くかと思うと、暖かい日ざしで昼寝している時、そばから声をかけてやると、面倒くさそうに片目を細くあけて、私を見る。そのとぼけた感じは何ともいえない。そういう両面を一枚の絵で表現したいと思っている。
表紙のフクロウもネコと観た人があったが、私はそれでよかったと思う。鳥はずいぶん描いたが、まだまだ描くつもりでいる。たまにはウマやラクダも描き始めるが、いつにまにか鳥になってしまう。四ッ足よりも二本足の方が形も不安定でおもしろく、単純化するのも便利だから、ついそうなるらしい。


※今週の表紙(朝日ジャーナル・1965年3月21日)

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